限定承認の落とし穴~競売
みなさんこんにちは!
名古屋もだんだん気温が高くなっていますので、熱中症にはお気をつけください。
さて、本日は、前回に引き続き限定承認に関して、「限定承認の落とし穴~競売」についてお話ししようと思います。
まず、限定承認をした場合で、相続債務を支払うために遺産の換価が必要な場合は、原則として競売をする必要があります。
競売の場合、一般的には時価よりも安い価格で買いたたかれる可能性がありますが、万が一、債権者の同意なく、通常の売却方法(任意売却といいます。)で売却してしまうと、債権者から限定承認をした相続人に対し、損害賠償請求をされる可能性があるため、注意が必要です。
また、遺産を換価する必要がある場合、遺産に田畑や山林など、競売をしても買主が現れない遺産があったとしても、原則として競売を行う必要があります。
競売を行うためには、事前に裁判所に対し、予納金を納める必要があります。
競売の結果、買主が見つかった場合は、売却代金の中から予納金が返金されますが、競売の結果、買主が見つからなかった場合や、安い金額でしか買主が見つからなかった場合は、予納金が戻ってこない場合があります。
予納金の金額は、裁判所ごとによっても、遺産の内容ごとによっても異なりますが、通常は、不動産の利用区分1つにつき50万~100万円前後することが多いです。
そのため、田畑や山林など、買主が現れにくい不動産が多数ある場合は、競売手続きをしてしまうと、数百万円の予納金だけ支払い、不動産は処分できず、予納金も戻って来ないという事態になりかねません。
このような事態にならないためには、事前に債権者に山林や田畑に関しては、任意売却を行う旨の同意を得ておくか、もしくは、先買権を利用して不動産を相続人が買い取っておくなどの工夫が必要になる場合もあります。
この部分は、専門家でも知らない方が多いため、限定承認を専門家に依頼する場合は、限定承認に詳しい専門家に依頼した方が良いでしょう。
さて、次回は、引き続き限定承認に関して、「限定承認の落とし穴~弁済後に残余財産がある場合」についてお話ししようと思います。
それではまた!