相続税~非上場株式の評価③
みなさんこんにちは!
名古屋もかなり暖かくなり、めっきり春の陽気になってきました。
ただ、寒暖差もあり、体調を崩しやすい時期ですので、お体にはお気を付けください。
さて、今回は、前回に引き続き、「相続税~非上場株式の評価③」として、非上場会社における株主の判定についてお話していこうと思います。
前回では、株主の判定として、同族株主のいる会社か、同族株主のいない会社かの選別方法について、ご説明をしました。
復習として、原則、筆頭株主グループの議決権割合(通常の株式は1株1議決権です)が30%以上か否かで同族株主のいる会社かを判別します。
議決権の30%以上を有する株主及びその同族関係者(妻や子など)は、同族株主に当たります。
また、例外的に、筆頭株主グループの議決権割合が50%を超える場合は、当該筆頭株主グループのみ、同族株主に該当し、以外の株主グループは、たとえ30%以上であっても、同族株主とはなりません。
つまり、株主の判定においては、筆頭株主グループが保有する議決権が①50%を超える(同族株主のいる会社)、②50%以下で30%以上(同族株主のいる会社)、③30%未満(同族株主のいない会社)の3パターンに分けられます。
株式を50%ずつ持っている場合は、②の同族株主のいる会社となります。
さて、復習が長くなりましたが、上の①~③のパターンまで判定が出来ましたら、次に、納税義務者(株式の取得者、通常は相続人)が同族株主に当たるか否かを判定します。
①筆頭株主グループが保有する議決権数が50%を超える場合は、筆頭株主グループのみが同族株主に当たります。
それ以外の株主(議決権数が50%以下)は、同族株主以外となります。
たとえば、議決権が100
株主 A 50株
Aの妻B 10株
X 40株
となっている会社の場合、同族株主は、A及びその同族関係者のBのみとなり、Xは同族株主以外となります。
Aが亡くなり、相続人はBと子Cのみの場合、B及びCは、同族株主に当たります。
他方、Xが亡くなり、その子Zが株式を相続する場合、Zは同族株主以外の株主に該当するため、「配当還元方式」という評価方法で株式を計算することになります。
次に、②筆頭株主グループが保有する議決権数が50以下で30%以上の場合は、保有する議決権が30%以上だと、同族株主に当たります。
たとえば、議決権が100
株主 A 30株
Aの妻B 10株
X 25株
Y 35株
となっている会社の場合、同族株主は、A及びその同族関係者のBだけでなく、Yも同族株主に当たります。
Aが亡くなり、相続人はBと子Cのみの場合、B及びCは、ともに同族株主に当たります。
他方、Xが亡くなり、その子Zが相続人の場合、Zは同族株主以外の株主のため、「配当還元方式」という評価方法で株式を計算することになります。
最後に③筆頭株主グループが保有する議決権数が30%未満(同族株主のいない会社)の場合、納税義務者が属する株主グループの議決権が15%以上か15%未満かを判定します。
たとえば、議決権が100
株主 A 10株
Aの妻B 10株
D 25株
E 25株
X 5株
Y 25株
となっている会社の場合、同族株主はおらず、議決権が15%以上の株主グループは、AとB、D、E、及びYとなります。
Aが亡くなり、Aの妻Bと子Cが相続人の場合、BとCは、議決権が15%以上の株主グループに属していることとなります。
他方、Xは議決権が15%未満のため、Xが亡くなり、その子Zが相続人の場合、Zは議決権が15%未満の株主グループに属しているため、「配当還元方式」という評価方法で株式を計算することになります。
以上のとおり、株主の判定については、かなり複雑になりますので、ご不明な部分については、相続税に詳しい税理士にご相談されることをおすすめします。
さて、次回は、同族株主がいある会社における株式の判定について、「相続税~非上場株式の評価④」としてお話していこうと思います。
それではまた!