相続税~非上場株式の評価⑨純資産価額方式

みなさんこんにちは!
名古屋も朝夕はだいぶ肌寒くなってまいりました。
季節の変わり目ですので、お体にはお気を付けください。

 

さて、本日は、「相続税~非上場株式の評価⑨純資産価額方式」と題して、非上場株式における純資産価額方式による評価方法についてお話していきます。

 

純資産価額方式とは、非上場株を評価する際に、仮に対象の評価会社が解散した場合に、その会社の株主に分配されるはずの財産価値で評価しようとするものです。
また、「分配されるはずの財産価値」とは、相続開始時点において、会社が保有する個々の資産の相続税評価額を基に算出することになります。


そのため、会社が土地を持っている場合や土地を借りている場合は、個々の土地や借地権について、評価を行う必要があります。

 

純資産価額方式の注意点として、会社の清算価値で株式を評価するため、事業が継続している会社の企業価値を十分に反映しているわけではなく、実際の時価と乖離する場合があります。
なお、遺産分割や遺留分において、実際の時価が問題になる場合は、相続税評価額によるもののほか、公認会計士等に鑑定を依頼する場合もあります。

 

さて、具体的な純資産価額方式の計算方法ですが、
①相続開始日の貸借対照表を作成する
②資産を全て時価に置き換える
③負債を時価に置き換える
④純資産価額を計算し、1株あたりの評価額を算出する
というような流れで行います。

 

まず、①相続開始時の貸借対照表については、通常の決算を行うのと同じ要領で作成します。
会社に顧問税理士等がいる場合は、作ってもらうこともできます。


②資産の時価評価については、土地について相続税評価額で計算します。
また、前払金や繰延資産、繰延税金資産は、財産性がないため、0円で評価するなど、資産を時価として評価していきます。


③負債を時価評価については、各種引当金は、負債に含めず0円として評価し、被相続人の退職金や法人税や消費税の未払金については、計上して負債を評価していくことになります。


④資産と負債を時価評価できれば、資産から負債を控除して純資産価額を算出し、それに対して発行済み株式総数で割ることで、1株当たりの評価額を算出することができます。

 

このように、純資産価額方式については、時価を算出することによって会社の株式を評価していくものであり、一般的には、類似業種比準方式による評価額よりも高くなる傾向にあります。

 

さて、次回は、引き続き、純資産価額方式について、事例を交えて、「相続税~非上場株式の評価⑩純資産価額方式」として、ご説明しようと思います。

 

それではまた!

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