遺言書って作る必要があるの?
こんにちは!
ようやく名古屋を含め,全国の緊急事態宣言が解除されました。
私としては,正直,解除されてほっとしております。
もっとも,解除された後であっても,第2波,第3波がいつくるか分からない状況なので,気を抜かず,しっかりコロナ対策をしていこうと思っております。
さて,本日は「遺言書って作る必要があるの?」についてお話していこうと思います。
まず,結論から申し上げますと,遺言書は作っておいた方がよいと思います。
実は,私自身も,すでに遺言書を作成しております。
なお,公証役場で作成される公正証書遺言の件数は,平成30年の時点で平成元年の約3倍増加し,件数として約11万件となっており,自筆で作成する遺言も合わせると,20万件は超えていることが予想されます。
さて,遺言書を作った方が良い理由としては,大きく分けて以下の3つのことがあげられます。
①親族間の争いを未然に防止することができること
②遺産分割協議書を作成する必要がなくなり,手続きが簡単になること
③特定の人に財産を残すことができること
まず,①親族間の争いを未然に防止することができることについてですが,私自身,多くの相続案件を扱う中で「遺言書さえあれば」と思うことがよくあります。
例えば,遺言書がないばかりに,仲の良かった姉弟が遺産をどう分けるのかで泥沼の争いになり,そのまま絶縁関係になってしまったという事例がありました。
自分が亡くなった後に相続人がもめることを望む人は,ほとんどいないと思います。
ただ,亡くなった方の思いに反して,相続人同士で争いになる場合もあります。
そのため,相続人全員が円満に相続できるように,遺言書を書いておくことが大切です。
理由の2つ目の②遺産分割協議書を作成する必要がなくなり,手続きが簡単になることについては,相続人が複数いる場合や複数の財産がある方に当てはまります。
相続人が複数いる場合は,どの財産をだれが取得するのかについて,遺産分割協議書を作成しなければなりません。
この遺産分割協議書を作ること自体,法的な知識や実務的な知識が必要とされるため,手間がかかります。
他の相続人が遠方にいる場合や,疎遠の場合などは,さらに時間と労力がかかります。
また,山林や畑等の不動産や複数の銀行に口座をお持ちの場合などは,不動産名義の書き換え,預貯金の解約手続きだけでも数か月かかる場合もあり,非常に手間ではあります。
仮に遺言書があった場合であれば,このような面倒な遺産分割協議書やその他の手続きが不要ですので,非常に簡単に相続手続きを進めることができます。
また,遺言書の中に遺言を代わりに行ってくれる人(「遺言執行者」といいます)を選んでおけば,その人がすべての相続手続きを代わりに行ってくれますので,相続人の手間が非常に省けます。
最後に③特定の人に財産を残すことができることについては,これは遺言書でしかできません。
例えば,長男の妻にお世話になったため,その人にいくらか遺産を渡したい場合は,遺言書を書いておかなければ,遺産を渡すことはできません。
また,相続人と全くの疎遠の場合や相続人と仲が良くない場合は,遺言書を書いておかなければ,その人に遺産が行ってしまうことになります。
そのため,誰かに遺産を渡したい場合や,反対に誰かには遺産を渡したくない場合は,遺言書を作成しておくことが必要になります。
これまで見てきましたとおり,遺言書は相続人間の紛争を未然に防止するだけでなく,相続人の手間が省けたり,特定の人に財産を残すことができたりします。
そのため,できるだけ遺言書を書いておくことをおすすめいたします。
さて,次回は,遺言書を書くタイミングとして,「遺言書はいつ書けばいいの?」についてお話しできたらと思います。