実際に問題となった遺言~押印がなかった遺言~

遺言書の作成

こんにちは!

 

最近は,名古屋を含め全国各地で猛暑日が続いております。

外出する際もですが,屋内に居る際も,適度な水分補給などしていただき,お体に気を付けてお過ごしください。

 

また,寝ている間も軽い熱中症になる場合がありますので,寝る前にコップ1杯分の水を飲むことも熱中症対策になります。

 

さて,本日は,遺言作成の際に気を付けていただきたい点として,「実際に問題となった遺言~押印がなかった遺言~」についてご紹介いたします。

 

1 事例

 

⑴ 家族関係

 

 家族構成は,亡父と母A,長男B,次男Cです。

 長男Bと次男Cは,あまり仲がよくありません。

 長男Bは,Aさんの近くに住んでおり,たびたびAさんの面倒や介護などを見ていました。

 次男Cは,遠くに住んでおり,たまにしか,Aさんと会っていませんでした。

 

⑵ 遺言書の作成

 

 母であるAさんは,いままで面倒を見てくれた長男Bに財産を残したいと思い,遺言書を書きました。

 Aさんは,遺言書の作り方について,深く考えず,題名を「遺言書」とし,内容を「長男Bにすべてを託す」として,遺言書を書きました。

 そして,日付を記載し,署名をしました。

 もっとも,その際,押印はしていませんでした。

 

⑶ 無効な遺言による遺産分割

 

 後日,Aさんが亡くなり,長男Bと次男Cは,Aさんの遺産を分けることとなりました。

 長男Bは,母の遺志のとおり,財産は自分が取得するものだと考えていました。

 しかし,Aさんが作成した遺言書は,押印が欠けているため,法的には,無効です。

 そのため,長男Bと次男Cは,法律通り,2分の1ずつで財産を分けることとなりました。

 最終的に,長男Bと次男Cは,話合いだけでは,解決することができなかったため,裁判所での手続きを利用して,遺産を分けることとなってしまいました。

 

2 解説

 

 手書きで書く遺言書(「自筆証書遺言」といいます)には,間違えてはいけない要件があります。

 今回の事案ですと,遺言書には,押印がなかったため,それだけで無効な遺言書となってしまいました。

 

 

このように,手書きで書く遺言書は,ひとつでも間違えれば無効になります。

 

また,ネットの記事の中には不正確なものも含まれていますので,注意が必要です。

 

遺言書を作成する際は,お電話でも大丈夫ですので,弁護士や税理士などの専門家にご相談ください。

 

次回は,今回に引き続き,遺言書の失敗例として「実際に問題となった遺言~認知症の時に書いた遺言~」について,お話していこうと思います。

 

なお,当法人では,遺言書のご相談について,無料での電話相談も行っておりますので,遺言書に関して,ご不明な点やご不安な点等ありましたら,お気軽にご相談ください。

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