弁護士が教える自筆証書遺言保管制度
みなさんこんにちは!
2月の中旬になり、名古屋もだいぶ暖かくなってきました。
季節の変わり目ですので、みなさんも体調にお気をつけてお越しください。
さて、本日は、「弁護士が教える自筆証書遺言保管制度」と題して、遺言書の保管制度について、ご説明します。
みなさんの中には、この制度のことがきいたことのある人もいらっしゃるかもしれません。
また、すでに利用してみたという人もいらっしゃるでしょう。
この自筆証書遺言保管制度というのは、簡単にいうと、「手書きの遺言書を法務局が保管してくれる」という制度です。
この自筆証書遺言保管制度の最大のメリットは、法務局に遺言書を預けるため、遺言書の紛失や相続人による改ざんの心配がないところにあります。
実際、遺言書を紛失してしまい、相続人が遺産の分け方でもめてしまったケースや遺言書が改ざんされてしまったケースなども多々存在します。
そのため、最近は、多くの方がこの制度を利用するようになりました。
他方、デメリットとしては、直接、本人が法務局に遺言書を提出しないといけないことです。
そのため、忙しい方や、ご体調の関係で法務局へ行くことができない方は、この制度を利用することができません。
また、この制度では、法務局が遺言書の内容まで審査してくれないため、遺言書の内容に問題があったとしても、そのままとなることもデメリットとしてあげられます。
なお、現在は、約半年間の間で、約14000件の遺言書の保管申請がありました。
次に、この制度を利用して、遺言書を保管してもらうまでの流れとしては、以下の①~⑦のようになります。
①遺言書を作成します
遺言書を作成する用紙は、A4サイズである必要があり、また、余白部分を設ける必要があります。
さらに、財産目録以外の全文及び日付を自書し、署名、押印をする必要があります。
その他、詳しい注意事項がありますので、詳しくは、法務省のホームページをご確認いただくか、専門家にお尋ねください。
②遺言書をは関する場所を決めます
保管場所としては、遺言書を書いた本人の住所地か、本籍地、又は、所有している不動産(土地や建物)の所在地のいずれかを管轄している遺言書の保管所(法務局)となります。
遺言書の保管所(法務局)については、法務省のホームページで確認することができます。
たとえば、名古屋市にお住いの方でしたら、名古屋法務局に遺言書を預けることができます。
③申請書を作成する
書式は法務省のホームページからダウンロードが可能です。
もしくは、法務局の窓口に申請書が備え付けられているため、そちらで直接お書きいただいても問題ありません。
④保管の申請の予約をする
この遺言書保管制度を利用する場合は、必ず予約が必要です。
予約の方法としては、直接、遺言書を保管する法務局に連絡していただくか、法務省のホームページに、予約専用サイトがありますので、そちらから予約していただくことも可能です。
⑤保管の申請をする
保管の申請の際には、以下の書類を持参したうえで、遺言書を作成された方が、遺言書保管所に行く必要があります。
ア 遺言書(ホッチキスでとめず、封筒も不要です)
イ 申請書
ウ 添付書類として、本籍地の記載のある住民票
エ 本人確認書類(マイナンバーカード等)
オ 手数料として、遺言書1通につき、3900円(収入印紙を購入する必要があります)
⑥ 実際に遺言書保管の手続きを行う
⑦ 遺言書保管証を受け取る
手続きが完了しましたら、遺言書を作成された方の氏名、生年月日、遺言書保管所の名称、保管番号が記載された保管証が渡されます。
この保管証は、遺言書の閲覧、保管の申請の撤回等の際に必要になりますので、大切に保管してください。
このように遺言書の保管制度自体は、それほど複雑な手続きではないため、今後ますます利用されることが予想されます。
もっとも、この制度のデメリットの部分でご説明したとおり、遺言書の内容はチェックされません。
そのため、遺言書の内容に法的に問題がないのか、相続税で損をしないか等については、別途、専門家にご相談する必要があります。
当法人では、遺言書に関して、無料相談を行っておりますので、ご質問だけでも大丈夫ですので、ご不明な点等がありましたら、いつでもご連絡ください。
さて、次回は「公正証書遺言の作成までの流れ」についてご説明させていただこうと思います。
それではまた!