包括遺贈と特定遺贈の注意点
みなさんこんにちは!
名古屋も含め、まだまだ暑い日が続きますので、みなさんも熱中症にはお気を付けください。
さて、本日は、前回と関連して、「包括遺贈と特定遺贈の注意点」について、お話ししようと思います。
まず、包括遺贈とは、遺産の全部又は一定の割合分を特定の人に遺贈することをいい、特定遺贈とは、特定の財産を指定の人に遺贈することをいいます。
この包括遺贈と特定遺贈について、大きな違いがあり、使い方を間違えてしまうと、大変なことになる場合があるため、注意が必要です。
特に気を付けておく違いとして、①借金の負担の有無②不動産取得税の有無③放棄の方法があげられます。
①借金の負担の有無について
包括遺贈の場合、包括遺贈を受ける人(包括受遺者といいます。)は、法定相続人と同じ権利を有するため、プラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産も相続することになります。
そのため、亡くなった方(被相続人と言います。)に多額の借金がある場合、この借金も含めて相続することになります。
他方、特定遺贈の場合、基本的にプラスの財産のみを取得するため、「遺贈の負担として、被相続人の借金を肩代わりする」といった特殊な遺贈(負担付き遺贈といいます。)でない限り、借金等のマイナスの財産を取得することにはなりません。
②不動産取得税の有無
不動産を遺贈する場合、包括遺贈では不動産取得税はかからず、相続人以外の者への特定遺贈では、特定遺贈を受ける者(特定受遺者といいます。)に不動産取得税がかかります。
不動産取得税は、3%(土地や住宅用の建物)か4%(店舗や事務所)とされています。
たとえば、3000万円の土地を特定遺贈された場合、受遺者には、90万円の不動産取得税がかかります。
他方、当該土地を包括遺贈により取得した場合は、不動産取得税はかかりません。
③放棄の方法
遺贈を放棄する場合、包括遺贈の場合、3か月の期限内に、家庭裁判所で相続放棄申述の手続きを行わないと、遺贈を放棄することができなくなります。
万一、被相続人に借金があった場合は、包括遺贈の放棄ができなければ、この借金も引き継ぐことになってしまいます。
他方、特定遺贈の場合、包括遺贈のような期限はありません。
もっとも、相続人等から特定遺贈を承認するか放棄するかの催促がされた後、期限内に回答しないと、遺贈を承認したものとみなされてしまいますので、注意が必要です。
このように、包括遺贈と特定遺贈は、借金の負担の有無、不動産取得税、遺贈の放棄の方法で大きな違いがあります。
そのため、遺言書を作成する場合は、包括遺贈と特定遺贈の違いを理解したうえで作成する必要があり、また、遺贈を受ける人は、受ける遺贈の内容を理解しておく必要があります。
さて、次回は、「相続放棄の期限」について、お話ししようと思います。
それではまた!