相続放棄と管理責任

相続放棄

みなさんこんにちは!


名古屋もだいぶ秋らしい気温となり、ぐっと寒くなりました。
季節の変わり目ですので、体調にはお気を付けください。

 

さて、本日は、前回と関連して、相続放棄後の管理責任について、「相続放棄と管理責任」と題して、お話していこうと思います。

 

まず、相続放棄を行ったとしても、管理責任を負うことがあり、万一、管理が適切ではなく、他人に危害を加えてしまった場合、責任を負う可能性があります。


たとえば、遺産の中に、今にも倒壊しそうな空家があったにも関わらず、適切に管理されず放置された結果、空き家が倒壊し、隣家に被害が生じてしまった場合は、相続放棄をした人であっても、その損害を賠償しなければならない可能性があります。

 

そのため、相続放棄をした人であっても、遺産を適切に管理すべき場合があります。

 

相続放棄をした人が適切に管理できない場合や、管理責任を免れたい場合は、裁判所を通して、相続財産管理人という人を選任してもらう必要があります。

 

もっとも、相続財産管理人を選任するためには、遺産の規模にはよっては、50万円から100万円程度、裁判所に納める必要があり、管理責任を免れるためにも、高額な費用がかかるのが現実です。

 

また、相続放棄をした人が複数人いる場合や、相続放棄をした人がそもそも遺産の存在を知らず、被相続人の生前も管理していなかった場合等について、誰がどのように遺産を管理すべきか、明確な規定や判例がなく、専門家の間でも判断が分かれている部分があります。

 

たとえば、父が亡くなり、妻、子が相続放棄をし、次に、父の兄弟、甥姪も相続放棄をした場合、管理責任を負うのが誰なのかについて、現行法では規定がありません。

 

そのため、最大限リスクを考えると、相続放棄をした人全員が管理責任を負うという考え方もできます。

 

こういったリスクを考えると、最終的には、お金を出して相続財産管理人を選任し、管理責任を免れた方が安心かもしれません。

 

なお、近年、この点について、民法改正があり、相続放棄後の相続財産の管理責任について、明確化されました。


もっとも、施行日は、令和5年4月1日となりますので、現在は、現行法のとおりとなり、実務的には管理責任は、あいまいなままということになりますので、ご注意ください。

 

さて、次回は、相続放棄に関連して、「相続放棄の取消」について、お話していこうと思います。

 

それではまた!
 

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