遺言書の作成
遺言書作成を弁護士に依頼するメリット,デメリット
みなさんこんにちは!
今回は、前回に関連して、「遺言書作成を弁護士に依頼するメリット,デメリット」についてお話ししていこうと思います。
まず、遺言者作成を弁護士に依頼するメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
①信託銀行に依頼するより費用が安い
②紛争予防に関するアドバイスを受けることができる
③弁護士を遺言執行者に選ぶことができる
デメリット
①税金について詳しくない弁護士もいる
②相続開始後に事務所がなくなっている可能性
1 メリット
⑴ ①信託銀行に依頼するより費用が安い
弁護士に,遺言書作成を依頼する場合,弁護士に支払う報酬としては,だいたい15万円から20万円程度になります。
これは,前回お話した信託銀行に頼む場合と比べると,作成手数料に関して,非常に安いです。
⑵ ②紛争予防に関するアドバイスをうけることができる
紛争予防に関するアドバイスを受けられるという点は,法律の専門家である弁護士に遺言書の作成を依頼する一番のメリットと言えます。
遺言書は,作成しない場合よりも,作成しただけで紛争予防の効果があります。
もっとも,遺言書の内容次第では,さらに相続人間の紛争を起こさないように予防することもできます。
この紛争予防の観点から遺言書を作成するには,法律の知識だけでなく,実務経験も必要になります。
そのため,弁護士に遺言書の作成を依頼すれば,紛争予防の観点も入れた遺言書の作成を行ってくれるでしょう。
⑶ ③弁護士を遺言執行者に選ぶことができる
弁護士に遺言書作成を依頼した場合,あわせて遺言執行者になってくれる場合があります。
遺言執行者とは,遺言書の内容を実現する人を言います。
遺言執行者の具体的な業務内容としては,相続人全員への通知,遺言内容の開示,遺産目録の作成,不動産の名義変更,預貯金の解約,執行の報告などです。
遺言執行者の業務を怠ってしまった場合,相続人から損害賠償請求が来る可能性もあり,遺言執行者は,極めて重大な責任を負っています。
この遺言執行者について,あらかじめ弁護士を指定しておけば,遺言執行に関する重大な責任などを全て,弁護士に任せることができます。
2 デメリット
⑴ ①税金について詳しくない弁護士もいる
弁護士の中には,税金,特に相続税に関して詳しくない先生がほとんどです。
遺言書の書き方次第では,かなりの額の相続税を抑えることができたり,他の譲渡所得税等についても抑えることもできたりします。
そのため,相続税や譲渡所得税等の税金を抑えたい方は,税理士にご相談されるか,もしくは,相続税や譲渡所得税に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。
⑵ ②相続開始後に事務所がなくなっている可能性
個人の弁護士事務所に遺言書の作成を依頼した場合,数年後には,その事務所がなくなっている可能性があります。
これは,大手信託銀行に遺言書作成を依頼する場合には,ほとんど心配する必要がない事柄です。
個人の弁護士事務所であれば,その先生が急病で倒れてしまった場合,遺言の執行や遺言書の内容の変更に関するアドバイス等が受けられなくなります。
そのため,遺言書作成を弁護士事務所に依頼する場合は,それなりの規模の事務所に依頼することをおすすめします。
このように,弁護士に遺言書作成を依頼するかどうかについても,上記メリット,デメリットを考慮して判断する必要があります。
なお,弁護士事務所の中には,無料相談を行っているところもありますので,実際に,ご相談してみて依頼するかどうかを決めてみるのが良いでしょう。
さて,次回は,最近特に質問が多かった内容として,「エンディングノートと遺言書の違い」についてお話していこうと思います。
それではまた!
遺言書作成を信託銀行に依頼するメリット,デメリット
みなさんこんにちは!
名古屋も含め,だいぶ朝夕で涼しくなってきました。
そろそろインフルエンザ予防接種の季節になってきましたね。
私としても,「そろそろインフルエンザの予防接種を受けないといけないなあ」と思っております。
さて,今回は、前回に関連して、「遺言書作成を信託銀行に依頼するメリット,デメリット」についてお話ししていこうと思います。
まず結論として,遺言書作成を信託銀行に依頼するメリット,デメリットは以下の通りです。
メリット
① 大手金融機関が遺言作成に関与するため,安心感がある
② 資産活用に関するアドバイスを受けることができる
デメリット
①費用が弁護士等の専門家に依頼するより高い
②中途解約する場合に,違約金がかかる場合がある
③紛争が起こった時に対応してくれない
④遺言の執行について,登記移転等は外部委託
それぞれについて,以下では簡単にご説明いたします。
1 メリット
⑴ ①大手金融機関が遺言作成に関与するため,安心感がある
遺言作成を信託銀行に依頼するメリットとして,大手信託銀行ならではの安心感があります。
これは,個人の弁護士等の専門家にはないメリットです。
⑵ ②資産活用に関するアドバイスを受けることができる
信託銀行に遺言書の作成を依頼した場合,資産運用についてアドバイスをもらうことができます。
たとえば,預貯金が散逸している人であれば,預貯金口座を信託銀行1本にしておけば,預貯金の管理や資産運用がしやすくなるといったメリットがあります。
2 デメリット
⑴ ①費用が弁護士等の専門家に依頼するより高い
信託銀行に遺言書の作成を依頼する場合の最大のデメリットとして,費用が弁護士等の専門家に比べて非常に高くなることがあげられます。
具体的な費用としては,作成する段階で,30万から110万円程度かかる場合があります。
さらに,年間の保管料も割高なところが多いです。
⑵ ②中途解約する場合に,違約金がかかる場合がある
デメリットの2つ目は,信託銀行によっては,遺言書作成した後,信託銀行との契約を解除する際に,清算金として,違約金を取られるところがあります。
違約金の額としても,20万円程度かかるところや,作成の際に支払った額(30万円から110万円程度)が返還されないことがあります。
③紛争が起こった時に対応してくれない
相続が開始した後,相続人間でもめごとが起こった際に,信託銀行は対応してくれません。
そのため,もめごとを解決する場合は,ご自身で解決するか,または,弁護士に依頼する必要があります。
④遺言の執行について,登記移転等は外部委託
相続が開始した後に,遺言書の内容通りに,預貯金の解約や土地の名義変更等を行うことを,「遺言の執行」といい,それを行ってくれる人を遺言執行者と言います。
信託銀行に遺言書作成を依頼した場合,遺言執行者として信託銀行が指定される場合がほとんどです。
信託銀行が遺言執行を行う場合,土地の名義変更などは,司法書士等の外部に委託します。
そのため,遺言執行の費用とは別に,さらに司法書士等に支払う報酬がかかります。
このように,遺言書作成を信託銀行に依頼する際は,メリット,デメリットを比較しながら,慎重に頼む必要があります。
さて,次回は,今回に関連して,「遺言書作成を弁護士に依頼するメリット,デメリット」についてお話ししようと思います。
それではまたお会いしましょう!
遺言書作成にかかる費用
みなさんこんにちは!
本日は、よくご質問いただく内容として,「遺言書作成にかかる費用」について,お話ししていこうと思います。
まず、遺言書作成にかかる費用としては、以下のものがかかります。
①弁護士や信託銀行などへ支払う報酬(手数料)
②公正証書遺言の場合は、公証役場に払う手数料
③戸籍や住民票の取得、切手代などの実費
④遺言書の保管料
これらの費用について,遺言書の作成を弁護士に依頼する場合と,信託銀行に依頼する場合とに分けて,説明していこうと思います。
1 ①弁護士や信託銀行などへ支払う報酬(手数料)
弁護士や信託銀行などに支払う費用については、事務所ごとに、また、信託銀行ごとによっても大きく変わります。
一般的に、弁護士への報酬としては、だいたい15~30万円のところが多いです。
他方、信託銀行に依頼する際は、初めに30〜110万円の費用がかかります。
2 ②公正証書遺言の場合の公証役場に払う手数料
公証役場に支払う手数料としては、だいたい5万円から10万円の場合が多いです。
また、公正証書遺言の場合、証人が2人必要ですので、公証役場に証人を用意してもらう場合は、1人1万円の費用がかかります。
なお、ご自宅や病院などに証人が出張する場合は、手数料に1.5をかけたものと、別途,公証人への日当、交通費がかかります。
3 ③ 戸籍や住民票の取得、切手代などの実費
戸籍や住民票を取得する場合,市役所に収める費用として,戸籍なら450円か750円程度かかります。
また,弁護士や信託銀行に戸籍や住民票の取得を代わりに依頼する場合は,別途2000円程度,費用がかかる場合があります。
4 ④遺言書の保管料等
遺言書を作成した後,弁護士や信託銀行に保管を依頼する場合,保管料がかかる場合があります。
保管料としては,年間5000円から1万円程度のところが多いです。
5 遺言書作成にかかる総額
公正証書遺言の作成を弁護士に依頼した場合,実費等を入れた総額として,20万円から30万円程度かかります。
他方,信託銀行に依頼した場合は,実費等を入れると,40万円から140万円程度かかります。
このように,遺言書作成についても,弁護士等の専門家に依頼するか,信託銀行に依頼するかによって,大きく費用がことなります。
そのため,遺言書を作成する際は,弁護士等の専門家と信託銀行,どちらを選んだ方が良いのかを慎重に判断する必要があります。
さて,次回は,今回に引き続いて,「遺言書作成を信託銀行に依頼するメリット,デメリット」についてお話していこうと思います。
それではまた!
実際に問題となった遺言~認知症の時に書いた遺言~
みなさんこんにちは!
いかがお過ごしでしょうか。
名古屋でも朝夕は,だいぶ涼しくなってきましたので,みなさんもお体には,お気を付けください。
さて,本日は,前回に引き続き,遺言書の失敗例として「実際に問題となった遺言~認知症の時に書いた遺言~」についてお話していこうと思います。
1 事例
⑴ 家族関係
家族構成は,父Aと亡母,長女Bと長男Cです。
父Aは,5年前からだんだん物忘れが多くなり,2年前に施設に入りました。
父Aは,難しい話は理解することができませんでしたが,日常会話程度のことは,意思疎通が可能でした。
長女Bは,よく父Aの様子を見に来ますが,長男Cは,以前から父Aとは折り合いが悪かったため,父Aのところには,ほとんど顔を出しませんでした。
⑵ 遺言書の作成
父Aは,自分が亡くなった後の事が心配になり,「長女Cに全財産を渡す」という内容の公正証書遺言を作成しました。
なお,公正証書遺言とは,元裁判官や元検察官である公証人が作成に携わる遺言のことです。
⑶ 突然の裁判
父Aが亡くなった後,長女Bと長男Cは,相続のことについて話合いをしました。
長女Bとしては,父の遺言書があるため,「遺産は遺言書のとおりに分けよう」と伝えました。
しかし,長男Cは,これに猛反対し,「今回作られた遺言は,認知症の時に書かれたものであるから無効だ」とし,弁護士を付けて裁判で争ってきました。
最終的に,裁判では,遺言書は有効だという結論になりましたが,解決まで相当な年月がかかりました。
2 解説
このように,認知症の時に書かれた遺言については,後日,遺言書は無効だとして,裁判を起こされる場合があります。
また,今回の事例とは異なり,認知症の時に書いた遺言が無効になったケースも存在します。
もちろん,認知症の時に書かれた遺言書の全てが無効になるわけではありません。
しかし,認知症の時に書かれた遺言書は争いの種になる可能性は十分あります。
そのため,転ばぬ先の杖として,遺言書を作成する際は,できる限り早い段階で,かつ,専門家を入れて作成することをおすすめします。
また,現在,認知症かもしれないが,遺言書を作成したいという場合は,なるべくお早めに弁護士などの専門家にご相談することをおすすめします。
さて,次回は,よくあるご質問への回答として,「専門家に遺言書の作成を依頼した場合にかかる費用」についてお話していこうと思います。
実際に問題となった遺言~押印がなかった遺言~
こんにちは!
最近は,名古屋を含め全国各地で猛暑日が続いております。
外出する際もですが,屋内に居る際も,適度な水分補給などしていただき,お体に気を付けてお過ごしください。
また,寝ている間も軽い熱中症になる場合がありますので,寝る前にコップ1杯分の水を飲むことも熱中症対策になります。
さて,本日は,遺言作成の際に気を付けていただきたい点として,「実際に問題となった遺言~押印がなかった遺言~」についてご紹介いたします。
1 事例
⑴ 家族関係
家族構成は,亡父と母A,長男B,次男Cです。
長男Bと次男Cは,あまり仲がよくありません。
長男Bは,Aさんの近くに住んでおり,たびたびAさんの面倒や介護などを見ていました。
次男Cは,遠くに住んでおり,たまにしか,Aさんと会っていませんでした。
⑵ 遺言書の作成
母であるAさんは,いままで面倒を見てくれた長男Bに財産を残したいと思い,遺言書を書きました。
Aさんは,遺言書の作り方について,深く考えず,題名を「遺言書」とし,内容を「長男Bにすべてを託す」として,遺言書を書きました。
そして,日付を記載し,署名をしました。
もっとも,その際,押印はしていませんでした。
⑶ 無効な遺言による遺産分割
後日,Aさんが亡くなり,長男Bと次男Cは,Aさんの遺産を分けることとなりました。
長男Bは,母の遺志のとおり,財産は自分が取得するものだと考えていました。
しかし,Aさんが作成した遺言書は,押印が欠けているため,法的には,無効です。
そのため,長男Bと次男Cは,法律通り,2分の1ずつで財産を分けることとなりました。
最終的に,長男Bと次男Cは,話合いだけでは,解決することができなかったため,裁判所での手続きを利用して,遺産を分けることとなってしまいました。
2 解説
手書きで書く遺言書(「自筆証書遺言」といいます)には,間違えてはいけない要件があります。
今回の事案ですと,遺言書には,押印がなかったため,それだけで無効な遺言書となってしまいました。
このように,手書きで書く遺言書は,ひとつでも間違えれば無効になります。
また,ネットの記事の中には不正確なものも含まれていますので,注意が必要です。
遺言書を作成する際は,お電話でも大丈夫ですので,弁護士や税理士などの専門家にご相談ください。
次回は,今回に引き続き,遺言書の失敗例として「実際に問題となった遺言~認知症の時に書いた遺言~」について,お話していこうと思います。
なお,当法人では,遺言書のご相談について,無料での電話相談も行っておりますので,遺言書に関して,ご不明な点やご不安な点等ありましたら,お気軽にご相談ください。
遺言書はどのように書けばいいの?
みなさんこんにちは!
名古屋も含めて,コロナの感染者が急増していますが,みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
私は,不要不急の外出を控えることと,こまめな手洗いうがい,アルコール消毒等を行っております。
今後も,コロナの感染拡大は続いていくと予想されますが,みなさんもお体にお気をつけください。
さて,今回は,遺言書の書き方として,「遺言書はどのように書けばいいの?」についてお話していこうと思います。
まず,遺言書には,よく使われるものとして,自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
これらの遺言書の作成方法について,簡単にご説明いたします。
1 自筆証書遺言(簡単な遺言内容の場合はおすすめ)
自筆証書遺言とは,手書きで書く遺言書のことを言います。
自筆証書遺言は,ペンと紙があれば作成することができます。
作成の方法としては,基本的に,①財産をどのように分けるかの内容②日付③名前を全文手書きし,最後に④押印すれば完成です。
例えば,全財産を長男に渡したい場合は,①「長男にすべての財産を相続させる」との文言②作成日の日付③名前を全文自書し,最後に名前の横に押印すれば,完成です。
また,相続法が改正されたため,財産目録については,パソコンで作成することも可能になりました。
なお,最近,自筆証書遺言を法務局で保管してくれるという制度もできました。
もっとも,自筆証書遺言は,①遺言書の内容②日付③名前を自書し④押印するという要件のうち,一つでも欠けていた場合,遺言書自体が無効なものとなります。
また,①財産内容をどのように分けるのかが抽象的ですと,相続が起きた時,もめる原因になるかもしれません。
そのため,自筆証書遺言は,専門家の立ち合いのもと作成する場合か,または,すべての財産を相続人に渡すといった簡単なものでない限り,あまりおすすめはしません。
2 公正証書遺言(おすすめ)
公正証書遺言とは,公証役場で作成する遺言です。
公証役場で,公証人が遺言書を作ってくれるため,自筆証書遺言のように無効になるリスクはほとんどありません。
手続きの流れとしては,通常,どういった遺言書を作りたいのかという遺言書案と戸籍等の必要書類を公証役場に提出します。
その後,公証人が遺言書案を添削したものが返ってきますので,その内容でよければ,遺言書の内容が確定します。
遺言書の内容が確定すれば,公証人と日程調整した日に,公証役場に行き,証人2人の立ち合いのもと,実際に遺言書を作成することになります。
公証役場で遺言書を作成する際の実際の流れとしては,
①まず公証人が遺言作成者に対し,遺言の内容をどういったものにするのかを確認します。
②次に,公証人が遺言書の内容を読み聞かせます。
③内容に間違いがなければ,署名押印して,完成です。
このように,公正証書遺言は,公証人が作成に携わるので,間違いはほとんど起こりません。
また,手書きで遺言書を書けない人であっても,意思確認ができれば,公正証書遺言を作ることができます。
なお,デメリットとして挙げるならば,公証役場に支払う手数料が数万円かかる程度です。
そのため,確実性が求められる遺言書については,公正証書で作ることをおすすめします。
なお,遺言書をどのような内容にするかについては,遺留分や相続税の関係など,専門家に依頼したほうが失敗しない場合もあります。
そのため,私としては,遺言書を作成する際は,一度,専門家にご相談し,簡単な内容の遺言でない限りは,公正証書遺言を作成することをおすすめいたします。
さて,次回は,遺言書の失敗例のご紹介として「実際に問題となった遺言~押印がなかった遺言~」についてお話していこうと思います。
それではまた!
遺言書はいつ書けばいいの?
みなさんこんにちは!
名古屋を含め,全国的にもコロナの第二波が心配される昨今,みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
当法人では,コロナ対策として,以下のことを実施しております。
①全弁護士,全スタッフのマスク着用の徹底
②手指をアルコール・次亜塩素酸水で消毒,手洗いの徹底
③出社前の体温測定の徹底
④相談室のテーブル,椅子,備品,取っ手等をアルコール・次亜塩素酸水で消毒
⑤こまめな換気
⑥できる限り三密空間を作らない,三密空間に行かない
⑦受付に消毒液を設置
⑧電話相談,ビデオ通話相談の実施,などなど
第二波が心配される今だからこそ,当法人では,一層気を引き締めてコロナ対策に取り組んでおります。
さて,前置きが長くなってしまいましたが,本日は,前回と関連して「遺言書はいつ書けばいいの?」についてお話していこうと思います。
皆様の中にも,「70歳を過ぎたら書こう」や,「体が弱ってきてから書こう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
ただ,結論から申し上げますと,遺言書は,できる限り早く書いた方が良いと思います。
なお,私自身,すでに遺言書は書いておりますし,相続チームの弁護士は,ほぼ全員,遺言書を書いております。
遺言書をできる限り早めに書いておいた方が良い理由としましては,大きく分けて三つあります。
一つ目は,いざ遺言書を書こうと思った時には,手遅れになってしまっている場合があること,
二つ目は,将来への不安の解消になること,
三つ目は,遺言書は何回でも書き直しが可能であることがあげられます。
一つ目については,このご時世,コロナだけでなく,交通事故や急病,南海トラフ地震や首都直下型地震,年々強まる台風,大雨の被害等,いつ命を落としてしまうか分からない状況となっています。
また,認知症になってから遺言書を作成したのでは,亡くなった後に遺言書の有効性をめぐる紛争になるおそれもあります。
そのため,転ばぬ先の杖として,元気なうちから,遺言書を書いておくことをおすすめしております。
二つ目の将来への不安の解消について,遺言書の作成をご依頼された方の多くが,「遺言書を作成して,将来に対するもやもやとした不安が解消した」とおっしゃっていました。
「遺言書を書こう,書こう」と思って先延ばしにしている状態は,非常にストレスがたまります。
また,ご本人が気づいていないだけで,不安が溜まっている状態かもしれません。
そのため,将来の不安を解消するためにも,遺言書を作成することをおすすめします。
三つ目について,遺言書はいつでも書き直しができます。
遺言書を作成した後,内容に気になる点がありましたら,いつでも書き直すことができるのです。
また,遺言書を書いた後でも,ご自身の財産ですので,自由に処分してもかまいませんし,極論すれば,すべての財産を使ってしまっても問題はありません。
このように,遺言書を早めに書いておいて損はなく,反対に,遺言書の作成を先延ばしにしてしまうと,ストレスが溜まってしまったり,もしもの時に手遅れになってしまったりする場合があります。
残された相続人が困らないように,相続人から「なんで遺言書を残してくれなかったんだ」と言われないように,今のうちから遺言書を作っていくことをおすすめします。
さて,次回は,遺言書にかかわる問題として,「遺言書はどのように書けばいいの?」という内容でお話していこうと思います。
それでは,皆様もお体に気を付けてお過ごしください。
遺言書って作る必要があるの?
こんにちは!
ようやく名古屋を含め,全国の緊急事態宣言が解除されました。
私としては,正直,解除されてほっとしております。
もっとも,解除された後であっても,第2波,第3波がいつくるか分からない状況なので,気を抜かず,しっかりコロナ対策をしていこうと思っております。
さて,本日は「遺言書って作る必要があるの?」についてお話していこうと思います。
まず,結論から申し上げますと,遺言書は作っておいた方がよいと思います。
実は,私自身も,すでに遺言書を作成しております。
なお,公証役場で作成される公正証書遺言の件数は,平成30年の時点で平成元年の約3倍増加し,件数として約11万件となっており,自筆で作成する遺言も合わせると,20万件は超えていることが予想されます。
さて,遺言書を作った方が良い理由としては,大きく分けて以下の3つのことがあげられます。
①親族間の争いを未然に防止することができること
②遺産分割協議書を作成する必要がなくなり,手続きが簡単になること
③特定の人に財産を残すことができること
まず,①親族間の争いを未然に防止することができることについてですが,私自身,多くの相続案件を扱う中で「遺言書さえあれば」と思うことがよくあります。
例えば,遺言書がないばかりに,仲の良かった姉弟が遺産をどう分けるのかで泥沼の争いになり,そのまま絶縁関係になってしまったという事例がありました。
自分が亡くなった後に相続人がもめることを望む人は,ほとんどいないと思います。
ただ,亡くなった方の思いに反して,相続人同士で争いになる場合もあります。
そのため,相続人全員が円満に相続できるように,遺言書を書いておくことが大切です。
理由の2つ目の②遺産分割協議書を作成する必要がなくなり,手続きが簡単になることについては,相続人が複数いる場合や複数の財産がある方に当てはまります。
相続人が複数いる場合は,どの財産をだれが取得するのかについて,遺産分割協議書を作成しなければなりません。
この遺産分割協議書を作ること自体,法的な知識や実務的な知識が必要とされるため,手間がかかります。
他の相続人が遠方にいる場合や,疎遠の場合などは,さらに時間と労力がかかります。
また,山林や畑等の不動産や複数の銀行に口座をお持ちの場合などは,不動産名義の書き換え,預貯金の解約手続きだけでも数か月かかる場合もあり,非常に手間ではあります。
仮に遺言書があった場合であれば,このような面倒な遺産分割協議書やその他の手続きが不要ですので,非常に簡単に相続手続きを進めることができます。
また,遺言書の中に遺言を代わりに行ってくれる人(「遺言執行者」といいます)を選んでおけば,その人がすべての相続手続きを代わりに行ってくれますので,相続人の手間が非常に省けます。
最後に③特定の人に財産を残すことができることについては,これは遺言書でしかできません。
例えば,長男の妻にお世話になったため,その人にいくらか遺産を渡したい場合は,遺言書を書いておかなければ,遺産を渡すことはできません。
また,相続人と全くの疎遠の場合や相続人と仲が良くない場合は,遺言書を書いておかなければ,その人に遺産が行ってしまうことになります。
そのため,誰かに遺産を渡したい場合や,反対に誰かには遺産を渡したくない場合は,遺言書を作成しておくことが必要になります。
これまで見てきましたとおり,遺言書は相続人間の紛争を未然に防止するだけでなく,相続人の手間が省けたり,特定の人に財産を残すことができたりします。
そのため,できるだけ遺言書を書いておくことをおすすめいたします。
さて,次回は,遺言書を書くタイミングとして,「遺言書はいつ書けばいいの?」についてお話しできたらと思います。