相続税~非上場株式の評価⑩純資産価額方式
みなさんこんにちは!
名古屋もだいぶ寒くなり、インフルエンザも流行りだしてきましたので、みなさんもお体にはお気を付けください。
さて、今回は、次回に引き続き、非上場株式の評価について、「相続税~非上場株式の評価⑩純資産価額方式」としてお話していきます。
まず、純資産価額方式は、評価の対象となる会社の貸借対照表の財産を相続税評価額によって評価していくことになります。
評価の方法については、基本的に相続税財産評価に関する基本通達(国税庁:財産評価基本通達)に基づき算出します。
たとえば、貸借対照表において、
預金 8500万円
貸付金 500万円
建物 2000万円
土地 5000万円
買掛金 3000万円
という記載があった場合、それぞれを相続税評価額に評価し直します。
たとえば、預貯金については、課税時期現在における既経過利子の額から源泉徴収されるべき所得税等の額に相当する金額を控除した金額を控除した金額を加算します。
なお、普通預金、当座預金など既経過利息が少額の場合は、そのままの金額を記載します。
そのため、預貯金について、すべて普通預金であった場合、額面どおりの金額が相続税評価額となり、先ほどの事例では、8500万円となります。
他方、預貯金のうち定期預金があった場合で、既経過利息が10万円、源泉徴収税額が2万300円の場合、8507万9700円が相続税評価額となります。
また、貸付金については、課税時期現在における既経過利息の額を加算し、回収不能額を減算した金額となります。
そのため、貸付金500万円の既経過利息が10万円、回収不能額が200万円の場合、310万円が相続税評価額となります。
建物については、基本的に固定資産税評価額で評価しますが、課税時期以前3年以内に取得した家屋等の場合、課税時期における通常の取引価格により評価します。
そのため、当該建物を3年より前に購入した場合は、帳簿価格よりも通常低くなる固定資産税評価額で計算されますが、3年以内に購入した場合は、購入した金額に近い金額で評価することになります。
たとえば、建物を10年前に購入した場合、建物の固定資産税評価額が500万円であれば、500万円として評価しますが、購入したのが2年前であり2000万円で購入した場合、建物の固定資産税評価額がたとえ800万円であったとしても、2000万円に近い金額で評価することになります。
土地も建物と同様、課税時期以前3年以内に取得した土地等かによって、金額が異なります。
最後に、買掛金については、負債の部として計上されていますが、買掛金の場合は、課税時期現在において、事実上支払いを要しない金額を減算することになります。
そのため、3000万円の買掛金のうち、1000万円について支払いを要しない場合、2000万円が負債として計上されます。
このように、純資産価額方式の場合、貸借対照表の金額を相続税評価額に引き直して計算する必要があるため、会社が多くの不動産を持っている場合や会社が非上場の株式を保有している場合は、評価するだけでもかなりの時間と労力を要することになります。
そのため、非上場株式が遺産にある場合は、なるべく早めに税理士等の専門家にご相談された方がよく、期限が迫った状態で税理士に依頼しても、期限内に相続税の申告が出来ない可能性もありますので、注意が必要です。
さて、次回は、今回に引き続き、純資産課税方式について、特に未納法人税や消費税について、事例を交えて、「相続税~非上場株式の評価⑩純資産価額方式」として、ご説明しようと思います。
それではまた!