遺留分侵害額請求の計算式

遺留分対策

みなさんこんにちは!

名古屋も時々、雪が降るなど、めっきり寒くなってきました。

インフルエンザやコロナ、風邪も流行っておりますので、みなさんもお体には十分にお気を付けください。

 

さて本日は、「遺留分侵害額請求の計算式」について、お話していこうと思います。

そもそも、遺留分とは、簡単にいうと相続人に認められた最低限度の権利のことをいいます。

 

また、遺留分の金額については、遺言書や生前贈与の内容、相続人の範囲、遺産の内容等で、大きく異なってきます。

以下では、簡単な事例を用いて、遺留分侵害額請求の計算式について、ご説明いたします。

 

【事案】

父が亡くなり、相続人は、長男と二男のみです。

父は、生前、長男家族と同居しており、長男家族が自身の介護をしてくれていたため、財産すべてを長男に相続させる旨の遺言書を残していました。

父は、令和7年2月1日に亡くなりました。

父の死後、長男は、父が残した遺言書どおりに遺産を分ける旨を二男に伝えたところ、二男は、長男に対して、遺留分侵害額請求をしました。

【父の遺産】 

父の相続開始時(亡くなった時点)の遺産内容は、以下のとおりです。

自宅土地建物        時価3000万円(固定資産税評価額は2400万円)

預貯金        1100万円

父の医療費(死後に支払い)       10万円

父から長男からの生前贈与(令和5年1月1日) 1000万円

 

【遺留分額の計算式】

遺留分額=「遺留分を算定するための財産の価額(基礎財産額)」×「個別的遺留分割合」となります。

「基礎財産額」については、「被相続人が相続開始時において有した財産の価額」+「被相続人が贈与した財産の価額」-(相続債務の全額)となります。

1 基礎財産額について

 自宅土地建物などの不動産の評価については、原則、時価を基準に評価します。

 もっとも、遺留分請求者(二男)と遺留分を請求される人(長男)が合意をすれば、固定資産税評価額を基準にすることができます。

 今回は、長男と二男との間で合意がまとまらなかったとして、時価を基準に評価します。

 そのため、自宅土地建物の不動産価格は、3000万円となります。

 よって、基礎財産額は、5090万円となります(遺産額に生前贈与を加え、債務を減額した額)。

2 個別的遺留分割合

 二男の法定相続分は、2分の1であり、その半分の4分の1が個別的遺留分となります。

3 二男の遺留分請求額

 よって、二男の遺留分額は、1272万5000円となります。

 このように、遺留分の計算方法としては、それほど複雑ではありませんが、計算式を間違えてしまうと、遺留分額も変わってしまうため、注意が必要です。

 

さて、次回は、今回に引き続き、「未分割財産がある場合の遺留分の計算式」について、お話していこうと思います。

それではまた!

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