手書きの遺言書の要件
みなさま、新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
まだまだ、コロナ等で大変な時期ではございますが、どうぞお体ご自愛下さい。
さて、本日は、「手書きの遺言書の要件」について、詳しくご説明させていただこうと思います。
結論として、手書きの遺言書(「自筆証書遺言」といいます)を作成する際について、絶対に気を付けていただきたい点は、以下の3つです。
① 形式的要件を全て満たす
② 抽象的な内容の遺言書を書かない
③ 遺言執行者を指定する
それぞれについて、詳しくご説明します。
⑴ ① 形式的要件を全て満たす
まず、形式的要件とは、
(ア) 遺産目録を除く、全文及び日付を自書する
(イ) 署名・押印する
のことを言います。
この2つの要件のうち、どれか一つでも要件が欠けてしまうと遺言書自体が無効になるため、注意が必要です。
なお、法律が変わり、遺産目録のみ、パソコンで作成することができます。
パソコンで作成した場合は、必ず、署名と押印を忘れないようにしましょう。
⑵ ② 抽象的な内容の遺言書を書かない
遺言の内容が抽象的であると、相続人間でトラブルになってしまったり、遺言書の内容の一部が無効になってしまったりする場合があります。
たとえば、「長男に全財産をまかせる」や「長男に全財産を一任する」とした場合、遺言書の内容が、長男に全財産を相続させるのか、管理等を任せるだけなのか分からず、遺言書の内容として無効となる可能性があります。
また、「自宅を長男に相続させる」とした場合、自宅が建っている土地は相続させるのか不明であり、相続人間でトラブルになってしまう可能性があります。
そのため、長男にすべての財産を渡したい場合は、「長男にすべての財産を相続させる」とし、自宅と土地を渡したい場合は、「○○県○○市○○町〇―○○にある自宅と土地を長男に相続させる」と明確に記載するようにしましょう。
⑶ ③ 遺言執行者を指定する
遺言執行者を選任していないと、相続人全員の印鑑登録証明書がないと、預貯金の名義変更や不動産手続きができない場合があります。
たとえば、相続人である長男と長女の仲が悪かった場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人一人だけでは、預貯金の解約ができなくなってしまうおそれがあります。
その場合、預貯金の解約を行うためには、裁判所での手続きを行って、遺言執行者を選任してもらう必要になるかもしれません。
このように、相続が開始した時に、相続人が困らないようにするためにも、遺言執行者を事前に指定しておいた方が良いでしょう
なお、遺言執行者は、相続人だけでなく、専門家も指定することができます。
遺言執行者の指定の書き方は、「遺言執行者として、●●を指定する」と記載すれば大丈夫です。
このように、手書きの遺言書を作成する際は、
① 形式的要件を全て満たす
② 抽象的な内容の遺言書を書かない
③ 遺言執行者を指定する
を守るようにしましょう。
万一、遺言書の書き方で迷った場合は、無料相談を行っている専門家に一度、ご相談されることをおすすめします。
私自身、亡くなった方が遺言書を作成しなかったがために、相続人が相続で大変な目にあった事例を100件以上見てきました。
そのため、一人でも多くの人に遺言書を作成していただければと強く願っております。
さて、次回は、「弁護士が教える自筆証書遺言保管制度」と題して、最近新設された自筆証書遺言保管制度についてご説明させていただきます。
それではまた!