手を添えられて作成された遺言書(添え手で作成された遺言書)
みなさんこんにちは!
名古屋も含め、まだまだ暑い日が続きますので、みなさんも熱中症には、十分お気を付けください。
さて、本日は、前回に引き続き、問題になる遺言書として、「手を添えられて作成された遺言書(添え手で作成された遺言書)」について、お話ししていこうと思います。
まず、結論から申し上げますと、他の人に手を添えてもらって遺言書を作成することは、おすすめしません。
なぜなら、添え手によって作成された遺言書は、原則無効と考えられているからです。
そもそも、自筆証書遺言は、財産目録以外、基本的に一人で書く必要があり、他の人と共同で作成することはできません。
また、添え手によって作成された遺言書では、添え手をした人の意思が遺言書の内容に介在する危険性があります。
そのため、添え手によって作成された遺言書は、原則、無効であると考えられているのです。
もっとも、添え手で作成された遺言書であっても、全て無効というわけではなく、例外的に
①遺言者が証書作成時に自書能力を有し、
②他人の添え手が、単に始筆若しくは改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支え を借りただけであり、
③添え手をした他人の意思が介入した形跡のないこと
の3つの要件を満たす場合に限り、例外的に、遺言書が有効となると考えられています。
このように、添え手によって作成された遺言書が有効になる場合は限定されているのが現状です。
実際、添え手による遺言書が有効になったケースは、それほど多くありません。
そのため、遺言書を作成される場合は、後々無効になるリスクも考えると、添え手によることは、おすすめできません。
万一、手が震えて文字を書くことができないという方であれば、公正証書遺言を作成された方が良いでしょう。
公正証書遺言の場合、まったく字が書けない方であっても作成することができますし、また、入院している方であっても、公証人が病院まで来ることも可能です。
このように、遺言書の作成には、いくつもの落とし穴があるため、遺言書を作成される際は、一度、専門家にご相談された方が良いでしょう。
さて、次回は、引き続き問題になる遺言書として「作成日の記載に問題がある遺言」についてお話していこうと思います。
それではまた!