遺言の執行~推定相続人の廃除

皆さんこんにちは!

 

名古屋も含め、だいぶ暑くなってきました。
今の時期でも、熱中症になる方もいらっしゃいますので、こまめな水分補給をおすすめします。

 

さて、本日は、前回に引き続き、遺言執行に関する話題として、「遺言の執行~推定相続人の廃除」について、お話していこうと思います。

 

まず、推定相続人の廃除とは、一定の要件に該当する相続人の相続権を消滅させる制度です。

 

たとえば、子が父に対し、虐待や重大な侮辱等を行っていた場合、父が子の相続する権利をはく奪することができ、結果、子は、父の財産を相続することができなくなります。

また、子は遺留分の権利も消失しますので、遺留分さえも取得できなくなります。

 

この推定相続人の廃除は、裁判所を通して手続きを行い、裁判所が廃除を認めれば、その相続人は、相続権を失います。


また、推定相続人の廃除の手続きは、生前に行うこともできますし、遺言書で推定相続人を廃除する旨の記載があれば、死後に手続きを行うこともできます。

 

この死後に推定相続人の廃除の手続きを行う場合は、必ず遺言執行者が手続きを行う必要があります。

 

遺言執行者は、遺言書が効力を生じた後、遅滞なく、推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならず、遅滞なく推定相続人の廃除の手続きを行わない場合、任務懈怠として解任事由となるため、注意が必要です。

 

また、遺言書には、明確に「当該相続人を推定相続人から排除する」と書いていなくても、亡くなった方の意思や遺言書の記載内容から、推定相続人の廃除をするという意思が読み取れる場合、遺言執行者は推定相続人廃除の手続きを行う必要があります。
たとえば、「長男には一切の財産を取得させない」という文言の遺言書があった場合、亡くなった方が、長男には財産は相続させず、さらに長男の相続権もはく奪させたいと考えていた場合、遺言執行者は、長男の推定相続人廃除の手続きを行う必要があります。


このように、推定相続人廃除の手続きは、遺言書からは明確に読み取れない場合もあり、遺言執行者としては、慎重に手続きを行う必要があります。

 

また、推定相続人廃除の手続きは、法的専門性が要求されますので、ご自身で手続きを行うことに不安な方は、専門家にご相談されることをおすすめします。


さて、次回は、「遺言の執行~認知」について、お話いたします。


それではまた!

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