みなさんこんにちは!
名古屋もだいぶ暑くなり、日中36度を超す日もだんだん多くなってきました。
みなさんもくれぐれも熱中症にはお気を付けください。
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さて、本日は、前回に引き続き、「限定承認の落とし穴~弁済後に残余財産がある場合」についてお話していこうと思います。
まず、限定承認の制度は、法律的に重要な部分が未完成であり、特に今回お話しする残余財産があった場合の処理について、解釈が分かれており、特に注意が必要です。
そもそも限定承認を行った場合、遺産を換価し、債権者や受遺者に対し、財産を分配した後、残った財産については、相続人が取得するということになっています。
ここで問題点として、将来、新たな債権者が現れた場合、相続人は、その債権者に対しては、いくらを支払う必要があるのかが、法律上明確に規定されていないということです。
たとえば、遺産が2000万円あり、限定承認した結果、債権者や受遺者に1000万円を支払い、残り1000万円について、相続人全員で分けることになったとします。
それから5年後、被相続人に2000万円を貸していたとする債権者が現れました。
しかし、各相続人は、相続した1000万円を使いきっており、現時点では、相続した財産は残っていません。
この場合、各相続人はいくらを支払えば良いでしょうか。
この部分について、法律上明確な規定があるわけでもなく、また、判例もないため、解釈によって、結論が分かれることになります。
まず、相続人は、限定承認をしているため、相続人は遺産額である2000万円の範囲で借金を負うことになるため、新たに出てきた債権者に対しては、遺産額2000万円から先に債権者等に支払った1000万円を控除した残りの1000万円の範囲で支払えばよいということになりそうです。
もっとも、その解釈だと、相続人は、残余財産がある場合、いつまでも残余財産を残しておく必要があり、相続人は、いつまでも残余財産に手を付けられないということになってしまいます。
そうなると、限定承認手続きもいつまでたっても終わらない可能性があるため、ある有力な考え方としては、残余財産が相続人固有の財産と混同した場合(たとえば、遺産分割の結果、相続人の預貯金に残余財産が混じった場合)は、新たな債権者は、混じった財産については、請求できなくなるというものがあります。
この場合、新たな債権者が現れた時点では、残余財産はすでに使い切っており、新たな債権者は相続人に対し、何も請求できなくなってしまいます。
しかし、この考え方も、法律上決まったものではなく、今後の法解釈によっては、違う考え方もされる可能性があるため、安心することはできません。
そのため、私個人としては、残余財産がある場合は、相続開始日から10年が経過するまでは、残余財産の金額等を明確にし、別で保管するなど、万が一債権者が出た場合に対処するようにしておいた方が良いと考えます。
このように、限定承認は、法の不備としか思えないような部分があり、解釈も分かれているため、限定承認を行う場合は、専門家に相談のもと慎重に行った方が良いでしょう。
さて、次回は、今回に引き続き、「限定承認の落とし穴~先買権と不動産取得税」についてお話ししようと思います。
それではまた!